クラウド・ファンディングのご支援で実現しました!
クラウド・ファンディングは、募集開始から10日間で目標額に達しました。
初演には、大勢のお客様にご来場いただきました。
ありがとうございました!
脚本・作曲・編曲・演出 加藤洋一
初演 2018年2月3日 (土)
千葉市美浜文化ホール メインホール
こんにちは、加藤洋一です。
私はこれまでオリジナルのミュージカルやオペラの制作・上演に携わって参りました。
私がこうして本格的にミュージカルの制作運営に携わるようになったのは、
千葉県の南房総市にシェイクスピアをテーマとした劇場が寂れた状態にあったことがきっかけでした。
大学時代より舞台やミュージカルに出演していたこともあり、その劇場を町興しの一貫として新たにミュージカルを制作・上演したことが今に繋がっています。
そんな私が企画しましたのは「バリアフリー・ミュージカル」です。
なぜこの企画をたてたのか、私自身が幼いころから視覚障碍者の方と交流を持っており、「バリアフリー=偏見や差別のないこと」を望んでいたからです。
小学校から大学まで県営団地の1階に住んでいた私の家の2階には「視覚障碍者のご夫婦」が暮らしていました。時には沢山レコードをお持ちのご夫婦に音楽を聴かせていただいたり、点字を教えてもらったり、いろんなお話をしました。
そのご夫婦に関わったことで、私は視覚障碍者の方たちの様々な困難も知りました。
当人たちだけではなく、家族、友人、職場の同僚、学校の教師……サポートする人たちの苦労を実感したのです。
「もしかしたら明日突然目が見えなくなっているかもしれない」そうした恐怖は誰にでもあります。
視覚障碍者も晴眼者も「生きる喜び」を持てる環境が必要です。
たとえ視覚を失ったとしても人生が終わりではありません。
だからこそ、「見えなくても理解できて楽しめるミュージカルがあったら、明日への希望の光が射すかもしれない」そう思い、「バリアフリー・ミュージカル」を企画しました。
私はある日、浜崎あゆみさんのライブに行きました。
それは素晴らしい舞台で、数万人の観客は彼女のパフォーマンスに魅了されていました。
ダンスやサーカスのようなアクロバティックな演出が変化する度に観客の歓喜の声は会場を轟かせます。
しかし、もし客席に視覚障碍者がいたら、何が起こっているか分からずに周りの人から置いてきぼりにされてしまう・・・・・・そう思うと急に悲しくなったのです。
この孤独に近い悲しみは、私がイギリス在住の時に感じた孤立感と同じでした。
イギリスに来てまだ日が浅い頃、友人に誘われてお芝居を観に行きました。
舞台で飛び交うネイティブ英語に付いていけなかったのです。
役者の台詞に観客は驚いたり、笑ったり……付いていけない私は孤独感を感じました。
ミュージカルは、歌、音楽、お芝居による総合エンタテインメントです。
登場人物、時代設定、場面、時間、顔や体の動作や表現などを台詞やナレーションによる音声にしてしまうと、とんでもない事になってしまいます。
「視覚障碍者」がこうした舞台を理解する方法に「音声ガイド」を利用する方法もありますが、煩わしさがあります。
そんな煩わしさを何とかしたい!そう思っていた私は、これまでミュージカルの脚本、作曲、編曲、演出をひとりで行ってきたことで、「音声ガイド無しでも制作上演が可能」であることに気付きました。「映像」「ダンス」「衣装」等々、視覚による演出もあります。普通のミュージカルです。
晴眼者の方には何がバリアフリーなんだろうと思うかもしれません。
しかし、視覚障碍者には、話が分かるように作られています。
そして、晴眼者が映像で楽しんでいても、視覚障碍者は音楽で楽しめる、ストーリー転回は同時に分かるようにしてます。
様々な工夫がされています。
この「バリアフリー・ミュージカル」は、「想像力を養い逞しくすること」「想像力でイメージを膨らませる力」の大切さを伝えています。
視力があっても、日常のなかで見落としていることに気がつかない人は沢山います。
金子みすずさんの「星とたんぽぽ」の詩にある「見えぬものでも、あるんだよ」がそう教えてくれます。
「バリアフリー・ミュージカル」では、「視覚障碍者」は見えなくてもイメージを膨らませて楽しめる工夫を取り入れます。
「音声ガイドなしで、ミュージカルが上演できるわけがない!」そう思われる方がほとんどであることは重々承知です。だからこれまで存在していなかったのです。これは初めての試みであり、私自身もこの「バリアフリー・ミュージカル」の構想に5年かかっています。
目が見える方も見えない方も共通していること。それは、「イメージを膨らませないと理解できないことがある」ということです。
つまり、ミュージカルなどの舞台はどんな人でも「想像力」を働かせる必要があります。だからこそ、豊かな想像力を育み、生きる喜びや希望を持たせる「バリアフリー・ミュージカル」は意義深いのです。
劇場の付加価値をつける為にも、このバリアフリー・ミュージカルは有意義です。
そして、「視覚障碍者だけのミュージカルにしない」これが重要です。
晴眼者と視覚障碍者が共に楽しむことができ、お互いに生きる喜びを感じることが「バリアフリー」であり「バリアフリー・ミュージカル」なのです。
初演は2018年2月3日。クラウド・ファンディングによるご支援によって開催が実現しました。
このバリアフリー・ミュージカルは舞台演劇の発展を目指し制作されているという一面もあります。
東京ベイシティーミュージカル 加藤洋一 ミュージカル 歌 声楽